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2007.07.23

鈴江英一氏の北海道新聞への投稿

北海道新聞朝刊/「私の発言」欄/07.7.23掲載]

              元国文学研究資料館
              史料館長 鈴 江(すずえ) 英 一(えいいち)

 公文書は国民・住民の財産
公文書は、役所の都合で作成・保存されるものではなく、国民の財産として管理され
なくてはならない。その認識なくして、どうして民主的な行政執行ができるだろう
か。そういう私の考えを、自治体の人たちに話していたところ、社会保険庁の公的年
金記録の不備があからさまになった。
 記録不明の要因は、一九七九年の記録の電算化、オンライン化にあったという。カ
タカナを漢字に変換する際、システムに問題があったのを放置してきたためとのこと
である。社会保険庁当局の怠慢は批判されて当然であろう。しかし、それを私たちが
あげつらい、社会保険庁を解体することで問題が解決するのか、疑問が尽きない。
 問題の根底には、年金のみならず、年金記録もまた国民の財産であるとの認識が欠
けていたことにあるのではないか。台帳八十三万件が違法に廃棄されていたという事
実が、何よりの証拠である。
 記録の廃棄や喪失がなぜ起こったか、徹底検証しなければならない。その原因と経
過を明らかにするため、そして過誤を繰り返さないためにもまた、記録(公文書)が必
要なのだ。そもそも公的年金システムを構築する際の記録が適切に保存されているの
であろうか。心もとない。
 いま道内でも北海道立文書館に続き、札幌市が公文書館の設置を計画していると聞
く。道や市の公文書が、私たちの権利や自治体行政の足取りを明らかにできるような
形で保存されることを期待したい。
 公文書は、国民・住民の財産であることを、私たちははっきりと認識し主張すべき
である。それなしに、行政に民主的な執行を求めても、絵に描いたもちにすぎないと
自覚したい。(札幌)

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