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2012.06.07

新潟県中越地震から東日本大震災へ-被災歴史資料の保全・活用の新しい方法をさぐる-

大規模自然災害が日常的に起こり続ける日本列島で、わたしたちは災害に強い
地域の歴史文化をどのように形成し、豊かにしていくのか。東日本大震災以降、
被災地の個人や地域の歴史文化を未来につなぎ、崩壊の危機をむかえた地域社
会の再生のために、あらためて地域歴史資料が注目されている。

津波被災地域では、亡くなった方々の記憶にまつわる写真や位牌、様々な遺品
をがれきの中から丁寧に探し集め、これを遺族に返却するという活動が広範に
行われた。また、津波で土砂をかぶったお地蔵さんを住民が掘り出し、それを
地域の記憶を伝えるものとして、安置する映像も全国に伝えられた。亡くなっ
た人びとや地域にまつわる記憶、それを伝える品々は、被災者が生き、そして
かつての地域社会を取り戻していくなかで、大きな役割を担っているのである。

しかし、その一方で、市町村合併や高齢化など、急激な社会構造の変化のなか
で、中山間部では地域社会が本来的な機能を失い、そこで保存されてきた地域
歴史資料が滅失の危機をむかえている。地震による災害、地球温暖化に関連す
る大規模風水害の続発が、この事態を早めることになった。すでに、指定文化
財を基本とした歴史資料保存や、地域住民による保全に依拠するのみでは、地
域歴史資料の保全が不可能なことは明確であろう。この危機的状況のなかで、
地域歴史資料を効果的に保全し、地域社会の再生に向けて活用するために、ど
のような手立てを講じればよいのか。

2004年の新潟県中越地震以降、新潟県では、災害時の地域歴史資料の保全・活
用をめぐって、先進的な取り組みが展開されてきた。県の「地域防災計画」に
は、「文化財の地震防災対策」として未指定文化財への対応が盛り込まれるな
ど、行政と民間が研究と交流を重ね、市民にも開かれた活動を続けている。東
日本大震災においても証明されたように、そこで得られた教訓は、被災歴史資
料の保全・活用の新しい方法として多くの示唆に富んでいる。

また、被災地の中山間部では、急激な人口移動のために過疎化が進み、地域社
会が本来的に持っていた地域歴史資料を保全する機能が失われつつある。若い
世代への歴史文化の継承が進まず、救われた歴史資料が戻る場所さえない地域
も存在する。新潟県中越地震における山古志村をはじめとする、中山間部にお
ける被災地の現状と課題をふまえて、東日本大震災後の地域社会に予測される
事態を見通すことが必要であろう。

このように新潟県中越地震から東日本大震災までの歴史資料をめぐる活動の意
義と、被災地の現状と課題をふまえて、来たるべき大規模災害に向けた地域歴
史資料の保全と活用のための新しい方法を探りたい。

・日程:2012年11月10日(土)13時~17時50分
・場所:新潟大学総合教育棟D棟1階大会議室
・主催:新潟大学災害・復興科学研究所危機管理・災害復興分野
 科学研究費補助金・基盤研究(S)「大規模自然災害時の史料保全論を基礎と
 した地域歴史資料学の構築」(代表・奥村弘)
・共催:新潟大学人文学部附置地域文化連携センター、新潟歴史資料ネットワーク ほか

・内容
1部 東日本大震災から1年間の新潟県の資料保全の活動を考える
・県外からみた新潟県の取り組みの特徴
奥村弘(神戸大学大学院人文学研究科)「新潟の取り組みに学ぶ-『災害・復興と
 資料』1号を読む-(仮)」
・パネルディスカッション
小林貴宏(山形文化遺産防災ネットワーク)
森 行人(新潟市歴史博物館)
大楽和正(新潟県立歴史博物館)
飯島康夫(新潟大学災害・復興科学研究所)
齋藤瑞穂(新潟大学人文学部)
田中洋史(長岡市立中央図書館文書資料室)

2部 減災と復興にむけた現代的課題をさぐる
田中洋史(長岡市立中央図書館)「新潟県中越地震と山古志村史編纂資料」
小林准士(島根大学)「山陰地方の過疎地における史料保存の課題(仮)」
松下正和(近大姫路大学)「2009年台風9号被災資料の保全と活用-兵庫県佐用郡地域史
 研究会・佐用町教育委員会との連携-」
多仁照廣(敦賀短期大学)「福井水害救出から見えた史料の社会的喪失」
蝦名裕一(東北大学)「宮城県栗原市における歴史資料保全活動-2度の震災をうけて-(仮)」
白水智(中央学院大学)「長野県栄村における文化財保全活動のこれまでと今後の課題」
青木睦(国文学研究資料館)「(未定)」

・問い合わせ先
矢田俊文(新潟大学人文学部、新潟大学災害・復興科学研究所兼任)
  〒950-2181 新潟市五十嵐2-8050新潟大学人文学部
TEL:025-262-6542
MAIL:yata☆human.niigata-u.ac.jp

添田仁(神戸大学文学部)
    〒657-8501 神戸市灘区六甲台町1-1神戸大学文学部
    TEL:078-803-5501
    MAIL:soeda☆lit.kobe-u.ac.jp

(矢田)

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